
BURGGEIST Soundtrack
このページはブルクガイストのサウンドトラックの紹介ページです。
ブルクガイストとは
ブルクガイストはSteamで発売中のアクション・ストラテジーゲーム。
高低差をテーマとした戦術、戦略が織りなすアクション・ストラテジー。歩く要塞ブルクガイストを従え、地形の起伏を利用した戦法を用いて押し寄せる敵を薙ぎ払い、塔の完成を目指す。フィールドを自在に駆け回り、素早く状況を分析し、素早いアクションで戦術を実行する。これらの「忙しさを楽しむ」ゲームプレイが本作の特徴。
ガラシアの数学者・イニャスが、石の様に動かなくなった妻・ルシールを解放すべく奔走し始めてから長い年月が経過していた。何の足掛かりも掴めずにいたイニャスだったが、ある日、義娘のエトワールが「何者か」と紙でやり取りしているところを目にする。何度か交わされたやり取りの末にその「何者か」はこう記す。「ルシールを解放するには、天まで届く塔を建てる必要がある」。
(Steamの公式ページから)

曲目
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歌詞
Music & Words by Chihiro Yorisaki
How far?
Whenever, Wherever
My heart will be with you
So, How high is it?
Tell me the secrets of this tower and the Axiom
And then, What do they want?
Show me the true form
What happens when we reach?
I will be waiting for you
Until I laugh with you
Could it be real, or just dream?
I’m glad to take a walk with you again
”Hello, Bonjour, Ça fait du bien. Et toi?”
I’m happy to say
“Bonne nuit, Fais de beaux rêves”
I hope you sleep well and don’t think anymore
No matter how far apart we are
My heart will be with you
I wish it were like this forever
We can laugh together now
訳
明日への塔
作詞・作曲・編曲:寄崎 知紘
どれくらいの距離?
いつでもどこでも
わたしの心はあなたとともにある
どれくらいの高さ?
教えて この塔と筆談者の秘密を
なにが目的なの?
本当の姿をみせて
たどり着いたら何が起こるの?
あなたを待ってるよ
あなたと一緒に笑い合えるまで
これは現実なの?夢なの?
あなたとまたお散歩できて嬉しい
「ねえ、おはよう。いい日だね!そう思わない?」
この言葉が言えて嬉しい
「おやすみ、良い夢を。」
もうなにも考えないで あなたが深く眠れますように
どんなに離れていても
わたしの心はあなたとともにある
永遠にこうだったらいいのに
一緒に笑い会えるよ いまなら
演奏者 Player
Vocal
寄崎 知紘 Chihiro Yorisaki, HP X
Guitar
中村 天佑 Tenyu Nakamura, HP X
1st Violin
本田 佳奈 Kana Honda, HP X
2nd Violin
菊地 萌子 Moeko Kikuchi, HP X
Viola
石川 可奈子 Kanako Ishikawa, Pococha X
恵藤 あゆ Ayu Eto, X
Cello
三木 千晴 Chiharu Miki, X
中村 潤 Jun Nakamura
夏秋 裕一 Hirokazu Natsuaki(Solo), HP X
小林 幸太郎 Kotaro Kobayashi, HP X
ブルクガイストの作曲者、寄崎知紘

寄崎知紘はビデオゲームやテレビ番組を中心に音楽を提供している日本の作曲家。バイオリンなどの擦弦楽器を用いたシンフォニックな楽曲を得意とする。「音楽を通じて感動を届ける」をモットーに鋭意制作中。 歌うことも好き。作曲を坂田晃一氏に師事。
作曲ノート
ブルクガイストの音楽は2022年〜2024年の間に断続的に作曲しました。そもそも私がゲームの話を聴いたのは2021年頃だったように記憶しています。ブルクガイストはゲームクリエイターの坂内さんが5年以上を注ぎ込み、一人で作るゲーム創作の限界に挑戦したような3Dタワーディフェンスゲームです。ダークなファンタジーの世界観で独創的なキャラクターたちが物語を導いてくれ、ゲームの面白さとともに世界観も面白く魅力的です。
3Dのグラフィックに合うような壮大な雰囲気を出したいと思い、シンセサイザーと生楽器を駆使したハリウッド的でシネマティックなサウンド感のファンタジー音楽を目指しました。ほとんどの弦楽器は弦楽四重奏を多重録音して重厚なサウンドを作っています。
全体的な構成としては、舞台となる地域にそれぞれのテーマとなるメロディを作り、それらを展開する形にしています。展開するメロディはフレーズのすべては使わず、主に冒頭の部分を使い、その後は変化させながら展開させていることが多いです。
個人で作り得る最大級の長い時間をかけた大作に見合うような音楽になっていたら嬉しいです。音楽でもブルクガイストの世界に浸ってもらえたら幸いです。
作曲者らによる各曲のコメントと解説
寄崎知紘(作曲者)、坂内達海(ディレクター) 、梅村元(ローカライズ)
解説文は寄崎知紘の一人称でまとめていますが、楽曲名は坂内達海さん 、梅村元さんとともに名付けました。解説はネタバレを含むのでゲームをクリア前の場合は注意してください。
01.証明の扉 / Frontispiece
ブルクガイストのメインテーマ曲「Tower To Morrow」のメロディを使った御伽話の始まりのようなピアノ曲です。主人公のイニャスは数学者であり、世界観として数学をモチーフとして展開しています。そのため、邦題は、はじまりに相応しい「証明の扉」と名付けました。英題は「Frontispiece」という言葉が気に入ったので扉絵というイメージを付与し名付けました。
02 .家族の基底 / Family Basis
主人公イニャスのこれまでの経緯を伝えるオープニングムービーにのせた劇伴楽曲です。楽曲はシナリオの説明と同じように3つの部分から成り立っています。ブルクガイストの舞台であるアリスカンの戦争についての説明、イニャスとその妻ルシールの出会い、ルシールの異変と筆談者とのやり取り、それぞれをイメージして作曲しました。戦争の鼓動を想起させる打楽器ではじまり、00:43からは不穏のテーマを挟みこました(下記の譜面のメロディです)。01:24からのルシールとの出会いはハープを中心とした穏やかで優しげな曲調にしました。02:27からはこの先の不穏や闘いを暗示し、曲は幕を閉じます。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 三木 千晴
03.ガラシア:空白 / Galacia: Void
ブルクガイストの舞台となるアリスカンという地域は終戦後の打ち捨てられた土地で、廃墟と自然の混ざった文字通り「国破れて山河在り」を体現した土地です。ガラシア側はフランス映画っぽい哀愁と陰鬱さがあると良い、というオーダーでしたが、そこまで暗くせずフランスの作曲家ドビュッシーをイメージして若干明るめに表現しました。また、デューディスク側には重めな音楽を作ることを決めていたので対称性を出すために、少し軽やかなサウンド感を目指しました。アコーディオンがガラシア側を象徴する楽器となっています。譜面のメロディがガラシアのテーマです。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 中村 潤
04.敵襲:擾乱 / Turbulence
ガラシア側の通常戦闘曲です。戦闘では音楽が通常戦闘、強敵、目標達成直前と3段階に楽曲が変化するため、段階的に盛り上がりように作りました。通常戦闘はガラシアのテーマを変奏し、高すぎないテンション感を心がけました。ガラシアのテーマは4拍目からアウフタクトのフレーズですが、バトルでは1拍目からに変更し同じ旋律に聴こえるが異なるフレーズとして展開しました。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 三木 千晴
05.強襲:火の暴風 / Rafale Infernale
ガラシア側の戦闘エリアで大型の憎悪歩きが出現した際に流れる対強敵の戦闘曲です。ガラシアの戦闘曲は風のイメージでタイトルをつけています。01:10のように強風を感じるような楽曲だったため、火の暴風という曲名を気に入っています。
演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 三木 千晴
06.デューティスク:歪み / Diutisk: Distortion
デューティスク側は、虚無感に加え鉄や硬いイメージでガラシアよりも重め厚めの曲調がほしいと、オーダーをもらいました。さらに「デューティスク側は上位種の悪魔プリムシュランゲの影響を強く受けているため、元とは違った原初風景的に想起させる方がよいかもしれない」とのことだったのですが、複雑で理解が追いつかなかった部分があります。フィーリングで作った結果、遠い風景は感じる音楽になったかもしれないです。
チェロのソロを基調とした重みのあるメロディーを主としてデューティスクのテーマとしました。また、それにアコースティックギターが呼応して彩り、デューティスクを象徴する楽器としました。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 夏秋 裕一(Solo)
Guitar 中村 天佑
07.敵襲:動乱 / Tumult
デューティスクのテーマは、ガラシア側よりも重めにするために低音楽器の出番を多く作りました。譜面の旋律は冒頭ですが、冒頭のみならず全編にデューティスクのテーマを展開しました。ガラシア側はアコーディオンを特徴的な楽器としていれましたが、デューティスクはアコースティックギターを特徴的な楽器としてまとめました。エレキギターも検討しましたが世界観的に文明が未発達なイメージだったためアコースティックギターを採用しました。ブルクガイストでは、テーマのメロディの冒頭を使用して展開させることが多く、冒頭以降は発展的に変化させていることが多いです。冒頭を使用して後半を発展させることが多いのは、バリエーションが多いほうが好きという個人的な好みです。バリエーションしていると、原型があやふやになることも……笑。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 小林 幸太郎
Guitar 中村 天佑
08.強襲:鉄の豪雨 / Eisenregen
デューティスク側の戦闘エリアで大型の憎悪歩きが出現した際に流れる対強敵の戦闘曲です。曲名はボスの砲弾の鉄の雨をイメージしています。楽曲は緊張感が終始続き強敵感を表現しています。デューティスクのテーマの発展形である02:07の盛り上がりが個人的にはお気に入りです。
演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 三木 千晴
Guitar 中村 天佑
09.原初の号令 / Primal Signal
塔完成のラストスパートの戦闘曲です。完成直前に出現する大ラッパ吹き登場時に切り替わります。あと少しだ!という気持ちが盛り上がるように、切迫感が続くようにしつつ、メインテーマ曲の「Tower To Morrow」のメロディーを織り交ぜました。譜面は0:12ぐらいの切迫している部分です。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 恵藤 あゆ
Cello 中村 潤
天へそびえたつ塔の完成ジングルです。塔を建設して何になるのか、何が起こるのか、筆談者の指示に沿って物事が進んでいくイニャスの不穏な状況を考えた時に派手なファンファーレは相応しくないと考えました。達成したことよりも襲撃をしのぎ緊張が解けたというニュアンスを重視して表現しました。「Tower To Morrow」のメロディーの拡大系で作曲しています。

演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 恵藤 あゆ
Cello 中村 潤
11.継承 / Succession
自分の顔を失いながらも憎悪歩きとして活動していたヘルツェライデが偉大なる一世シルドベールへの”継承”のため、別れを告げる場面の楽曲です。ヘルツェライデの決意とイニャスへの感謝などを表現しつつ、シルドベールに取り込まれる瞬間には、何がどうなるのかわからない不穏と神秘性を意識して作曲しました。
12.貴方には知りえない / Axiom
筆談者が「誤った証明がなされた」と言い、イニャスが筆談者の”修正”が成されたら何が起きるかを問うも「貴方には知りえない」を繰り返し、押し問答の末に戦闘になります。筆談者の重みのある存在感、怖さや何が起きるのかわからない不穏を表現しました。
演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 中村 潤
13.存在の誤謬 / Existential Fallacy
シルドベールにとって誉れの証明である最後の戦いの楽曲です。誤謬という言葉は論理学や数学などの文脈で誤りを表す時に使われることが多いのですが、世界観と意味合いをふまえて「存在の誤謬」と名付けました。楽曲は前半は短三度のモチーフを半音階的な不安定な転調を繰り返し00:41からは「02 Family Basis」の不穏なメロディーをもじったメロディーに到達し盛り上がります。後半は「14 Tower To Morrow」のメロディーでシネマティックで壮大な音楽を表現しました。シルドベールが出てきたと思ったら……、筆談者とのラストバトルにたどりつけた人はきっとびっくりしたのではないかと思っています。


演奏者情報
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 中村 潤
14.明日への塔 / Tower To Morrow
ブルクガイストのメインテーマ曲です。歌詞は物語の中では語られないルシールの視点からみたイニャスや義娘エトへの想いを想像して創作しました。歌詞の前半は筆談者という謎の存在に対する問いかけを歌い、後半はラストバトルが終わったあとの家族で暮らす情景を綴りました。彼女は身体が弱いので、目前の脅威を退けても、自分たちの幸せが儚いものになるかも知れないことを強く意識しています。それらを I wish it were like this forever We can laugh together now という言葉に込め表現しました。

演奏者情報
Vocal 寄崎 知紘
1st Violin 本田 佳奈
2nd Violin 菊地 萌子
Viola 石川 可奈子
Cello 三木 千晴
Guitar 中村 天佑
BURGGEIST Soundtrack © 2024 Chihiro Yorisaki,
BURGGEIST © 2024 GHRIAN STUDIO